プロローグ

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 中学校三年間。特に何も変わらない毎日。入っていたサッカー部もモテたかっただけで入部し、あまりのハードな練習についていけずに一年も経たない内に幽霊部員。もちろんモテない。  そこでちょっぴり淡い恋心を抱いていたマネージャーの栗原さんだけが癒しだったが学年一イケメンと言われていたサッカー部のエースと付き合っているという噂を聞き俺は遂に部を去った。  それからも特に何もない。授業を受けて、帰るだけ。誰とでも仲良くは出来たが親友と呼べる程の奴は一人もいなかった。  だから俺は村咲学園を受験すると決めたとき心に決めた。絶対に受かって、俺の青春すべてをこの高校生活に捧げようと。  必死で受験勉強をし、よくわからない質問をたくさんされた面接試験も乗り越えて合格を掴み取った。  明日の入学式は重要だ。大事な初日に寝坊なんてするワケにはいかないし、だからといって寝不足のままの酷い顔で入学式を迎えたくない。どうにかして夜無理矢理寝なければ。  もう徹夜でゲームをして日が昇ると共にベッドに入るなんていうクズ生活は許されない。 「あ、そうだ! まず制服出しとかないとな」  学園から届いた制服を一度ダンボールから出しただけでそのまま押入れにしまったままだったことを思い出した。  これだけ新しい学園生活に胸躍らせといて、制服の扱いが雑だったことに反省する。 「それにしても宅配で制服が届くって珍しいよな……」  村咲学園の制服は、学園にサイズを伝えるだけで後は勝手に制服が送られてくる、という変わったシステムだった。  まだ制服のデザインもちゃんと出来ていなかったのか、サイズを記入する欄に学ランがいいかブレザーがいいかなどという質問もあった気がする。  何故かセーラーがいいかブレザーがいいかという質問にも答えなければならなかったのもよく覚えている。  ちなみに俺は中学がブレザーだったことと、そして女子はブレザーよりセーラー服派なので学ランとセーラー服に勢いのあるマルをつけて提出した。
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