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窓の外の遥か遠くに、赤く熟れた月があった。 ベッドに転がった少年が、得体の知れない不安を感じながら、一人それを眺めている。 ふと彼は枕元を探り、置時計を手に取った。 暗がりの中に、蓄光の文字盤が薄く光る。 「ああ……もう、こんな……」 少年は呟くと、慌てて布団に潜り込んだ。 彼の意識は夢の中へと消えていく。 『11:58』 ――物語は、そこから始まる。
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