山代 明子

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 僕の通う鈴鳴学園では『生徒の自主性』をモットーとしていて、各クラスの委員長の他に学年代表で男女一名ずつ、計六人プラス顧問の先生からなる『級長委員会』がある。  それって生徒会でいいんじゃない?と入学前は思っていたけれど『生徒の自主性』を高らかに唄っているだけあって、生徒会の仕事量は尋常じゃない。  日々の学校運営はもちろん、電球の取り替えなどの雑務のための業者とのやりさえ、生徒にさせようとしているのだ。  生徒会が本当にそんなことまでしていたら手が足りないので、僕たち級長委員会がある。  中途半端に進学校なせいで問題生徒なんてほとんどいないし、みんな良い意味で自分本位だから自分のことは自分で出来る連中ばかりで、委員長の仕事自体は容易い。決め事をする時だってクラスメイトは適度に意見を出してくれるし、協力もしてくれる。  級長委員会なんて、正直、生徒会の使いパシリと言っていい。  しかも、だいたい委員長というものは新学期に決まる。  ロクにクラスメイトの人となりも知らないままに、いきなり「ハイ、では今から委員長にふさわしいと思う人の名前を書いて下さい」なんて紙切れを渡された日には、目も当てられない。  みんな、きっとこう思っただろう。
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