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「労働だよ、こっちの街に毎日だ。四人とも工場で働いてる」
「期間は? いつから工場で働いてる」
「半年くらいかな、四月の頭からだから七ヶ月にはなるな」
「その前はどこにいた」
「細かいな、あんた。前の検問官が押したハンコが見えてないのか? それが問題なしっていう何よりの証拠だと思うんだけどな」
「お前の仕事は工場で働くことであって検問官ではないだろう? 前の検問官の評価など知るか、俺は自分の判断に従って決めていく」
チラと怯えたような顔をしたトムだったが、すぐに俺の問いに答えた。
「あーあー分かった、答えるよ。レブネフで大して変わらない日雇い坑夫さ、ただ工場のがだいぶマシだよ。崩落も、正体不明のガスも出ない」
「いいだろう、次だ。入ってこい」
順調に一人ずつ聞いていき、俺は最後の四人目に取り掛かる。
「名前とパスポートの製造国を」
その男はさもメンドくさそうな顔をしながら答える。
「ライノ・グート、他の奴らと同じくレブネフだよ。早くしてくれ、俺たちは工場勤務だぜ八時には仕事を始めないと」
Ao348164か、面白い。
「レブネフね……。一応確認しておこうか、お前性別は」
「見て分からねえか、男だろうどう見たって。それがどうかしたのか」
「いいだろう、お前は不可だ」
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