カーシェアリング利用者、Cさんの場合。

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Cさんは、フリーのルポライター。 主に『心霊、オカルト系』の記事を書いている。 しかし… どうも最近『書くネタ』が尽きてきた。 あらかたの心霊スポットは記事にしてしまったし…別のスポットは他社に先を越されてしまった。 「う~ん。どこか新しい所を『開拓』しないと」 と… そこで思い出したのが、近所の『K山』の奥に有る『〇〇トンネル』。 あそこは、雰囲気だけはカナリ不気味なのだが… 一切、怪談話の類いが無い。 Cさんは「ダメモトで行ってみよう」と考えた。 と、いう訳で 車が無いCさんは、カーシェアリングで借りた車に乗って深夜3時に『〇〇トンネル』へとやって来た。 「よし」 彼は、車でトンネルに入り、出口までの中間地点で停車した。 たいがい、トンネルの怪談というのは、『何か』が立っていたり、窓に手形が付いたりというのが多いが…。 と! 「許サニャイ」 いきなり! 近くで女の声が聞こえたのだ! 驚いてCさんが声の方を見ると! 彼の隣… つまり車の助手席に! 何と!真っ赤なコートを着た女が!膝の上に一匹の黒猫を乗せて座っているではないか! 「許サニャイ」 また、声がした! しかし!その声は… 女が喋っているのではなく! 彼女の膝の上の黒猫が喋っているのだ! 「うわぁっ!」 あまりの恐怖にCさんが叫ぶと 女も黒猫も、すーっと消えてしまった! 「で、出たぁ!」 Cさんは、車から降りるとあちこちデジカメで写真を撮り『K山』を下山した。 後で写真を見ると… トンネル内部の写真には何も写っていなかったが 試し撮りで撮った車内写真には、ぼんやり何か写っていた! 「これは、使える!」 早速、Cさんは記事を書き、それは雑誌に掲載された。 『「K山」の「〇〇トンネル」には、真っ赤なコートの女の幽霊と黒猫の幽霊が出る!』 その記事をたまたま読んだ… 大病院の医院長、Bさんは観念して愛人殺しの件で警察に自首をした。 そして、その記事をたまたま読んだスピード狂のAさんは深く反省して『K山』に黒猫のお墓を作り、手を合わせたと言う。 でも、 その記事を書いたCさんさぁ…。 実際に 『いろいろ取り憑いている』のは、車の方であって… あの『〇〇トンネル』には… 本当は『何も居ない』んだけどニャー。 (って、お前誰だよ?!) ~おしまい~ 表紙イラスト&題字/グレコさんのお嬢さん
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