いわゆる転生っての

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いわゆる転生っての

何にでも順位がある。いわば優劣だ。 兄弟も美醜とか財産だとか役職に始まる社会的地位とか全部。 でもさ。自分が所属するコミュニティで頂点だとしても、そこから出れば立ち位置が変わる事を忘れちゃダメだよね。 驕り高ぶるなとでも言っとく? そんな気は無くても生れながらに気が付けば階層の頂点に位置する者もいるわけで。 それが当たり前の己の世界という環境で育った者の事ね。 紛れもなく今それが俺。 線路に落ちて多分死んだ。そんで転生したってやつだ。もう何百年か忘れたけど大分前の事。 今、体長は成体で三メートル以上あるか。全身は黒緑の長めの毛で覆われ、四肢に備わる重厚な爪は鉄をも裂くといわれている。 裂いたことはまだない。 雄々しい姿に見合う目は深淵の暗闇の中から先を見据えるような金色。 この体格の強さと寿命の長さ、知能の高さから界隈の獣の頂点にいる。 俺、犬畜生に転生。 しかも異世界。 最初はショック過ぎたけど四足も慣れたもんだ。俺は獣として育った。今、完全獣で年齢的には犬のおっさん。 そして黒鉄魔狼(ブラロ)っていう魔獣で霧の森の頂点にいる。 いるはずだった。 「……」 「……」 一人の薄汚れた男が目の前にいた。     
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