第1章

2/3
前へ
/3ページ
次へ
産まれたばかりの僕を写した最初の写真を1枚目として、沢山の写真が幾冊ものアルバムに収められている。 幾冊ものアルバムはけして人には見せない。 両親を含めた家族にも親友と言える幼馴染にも見せない、僕だけのアルバム。 何故なら僕の隣には何時も女の子が一緒に写っているから。 家族や友人が持っている同じ写真には女の子は写っていない、僕のアルバムに貼られた写真だけに女の子は写っている。 中学生の頃付き合っていた女の子を家に招いた時、隠していたアルバムを見つけた彼女にこう言われた。 「幼馴染かどうか知らないけど、私という恋人がいるのだから、私以外の女が写っている写真は捨ててよ!」 高校生の頃付き合っていた彼女にも、大学生の頃付き合っていた彼女にも同じように言われる。 だから僕は彼女達と縁を切った。 社会人になってから付き合いだした彼女にも隠してあったアルバムを見つけられ、興味津々といった表情でアルバムの中の写真を見ていた彼女が聞いてくる。 「写真に写っている女の子って真の従姉妹?」 「え!?」 「だって兄弟は、歳の離れたお兄さんとお姉さんしかいないってこの前教えてくれたから、妹さんじゃ無いでしょ。 でも顔の輪郭や目元が真そっくりだから、従姉妹かなって思って」 「写真捨てろって言わないの?」 「え!?何で?」 「今まで付き合ってきた女の子全員に、自分以外の女の写真は捨てろって言われたから」 「酷い事言われたのね。 私は別に構わない。 だって写真って思い出を記録した物でしょ。 だからアルバムの中の写真は、真の大事な物だと思うから言わないわ」
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加