ブログを見続ける人の話

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 たった一本の紐で繋がっているだけの関係。その人は一生懸命紐をあちこちに広げ、僕は偶々その端っこの一つを握っていただけ。ぷつんと切れれば、はいお仕舞い。  僕にとって、その人はブログそのものだったと言えるのかもしれない。だから、ブログが終わってしまえば、その人が終わってしまう――換言すれば死んだ事と同じなんだ。  そう気づいた日、僕は寂しくて泣いた。  街を歩いていても楽しくない。その人はもう世界を切り取りはしない。言葉を僕に届けてくれる事もない。何か考えるにも、僕はその人の視線に憧れ、同じ視線を持てるように歩いていた。誰かと同じ価値観を持つ事、同化する事を愛だというのなら、まさにそれだった。  空虚な気持ちだ。  それから僕は、ずっとその人の最後の日記を繰り返し読み続けていた。未だにもやもやは解決していない。ぷっつりと途切れたブログからでは、何も分かる事はない。ならば…僕は、遡って読み続ける事にした。     
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