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何故写真を撮ったのか、今でも分かりません。ただ、そうしたかったとしか説明できないんです。あの時私を突き動かした物がなんなのか。ずーっと考えていく中で、こんな光景のような出来事は、世の中にどれくらいあるのだろう、という疑問が出てきました。私が見ていなくても、知らなくても、きっとあんな光景は世界中のどこかで繰り広げられている。そう思うと、一つでも多く見たい、撮りたい!という願望にすっかり取り憑かれてしまいました。
と言う訳で、私が死んでしまえば消えてしまうこの無価値な世界の中で、私が見いだした物をここに記録していきます。私の命が、尽きるまで。」
読み終えて、溜息を吐く。少しだけ、その人の人となりが見えてきた。気がする。そして、ブログが終わってしまっていると言う事は、やはりその人は…死んでしまったのだろう。受け入れがたい事実ではあるけども、今ならすんなり受け入れられる。
そんな素振りさえ全く見せずに、ブログを書き続けてきた。強い人だったのだろう。僕は、心からこの人のブログを覗く事が出来て幸せだったと思った。
それから僕は、また最初の日記からカメラの写真までをずっと読み返した。今度は、僕の思い出も付加されている。
「この写真を見た日はひどく怒られた日だ。」
「この日は楽しい事があったんだ。あれは本当に楽しかったな。」
「あぁ、雨降りの日だったね。」
そこには書かれていない僕の気持ちが、ありありと蘇る。
途中、写真を眺めながら考える。
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