ブログを認め続ける人の話

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 最初からそう考えて生きてきたかと聞かれれば、そうではないと答えるだろう。病を宣告され、自分が死ぬと言う事を漠然と意識した頃、私は半狂乱だった。部屋にある物は全て掴んで投げた。目に見える場所にある、形ある物は全て壊した。血を吐く程叫んだ。体中の水分が底を尽きるまで泣いた。誰も、気にとめる人などいなかった。  私には家族は無い。友も無い。何ら社会との繋がりもない。ただ機械のように働き、食べ、寝る。そんな生活だった。  死ぬと言う事を突きつけられ、それについて考え始めると、自分には何も残す物が無く、仮にあっても残す相手もない事に気づき、言いしれぬ不安が心に影を落とし始めた。  …そう望んできたのは自分なのに…  自分自身の決断で、人との関係を絶ってきた。それが正しい事だと思っていたし、格好良い事だとも思っていた。そんな考え方をしてきた自分に腹が立つし、呆れる。  やがて、それだけ絶望していながら飯だけは食べる自分に更に呆れた。まだ、生きようとしているのだ、私という人間は。  その日の夜は眠れず、悶々としたまま過ごしていた。壊れた物しかないこの部屋でずっと、考えても詮無い事を延々考えていた。  どれだけ時間が経ったのか、全く気づかぬ内に外は白く明るくなってきた。  …私がこれだけ苦しんでいても、太陽はまた同じように昇る…憎たらしい…  八つ当たりのような思考だ。  …思い切り睨みつけてやる!  そう思って、カーテンを勢いよく開ける。  そして、心奪われた。     
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