ブログを認め続ける人の話

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 とにかく夢中で撮った。きっと良い写真が撮れている。そうに決まっている。しかし、それをどうするんだろう?私はあの光景を見て、感動して、思わずカメラで撮った。それは…何故だったんだろう?  仕上がって来たのを見て、溜息を漏らした。あの時見たまんまが、そこに写っていた。あぁ、美しい。感動が何度でも蘇る。  等と見ていたら、写真屋のおばちゃんに怪訝な顔をされた。私は赤面しつつ、その場を足早に立ち去った。  ガラクタだらけの部屋に戻り、一頻り写真を愛で、それからまた考え始めた。これをどうしたらいいだろう?私は、何故これを撮ったのだろう?  世界中の物を憎み、自分の終わりに絶望し、虚無感に苛まれていた私。あの時の私は自棄を起こし、全てに当たり散らし、しかし世界はそれに無関心だった。私は無力だった。まるで、私には誰からも何の価値も認められていないように感じられて、とても惨めだった。  そこにぽっと現れて、私のそういった物をあっさりと忘れさせ、心の中にでんと居座っているこの写真。あんなに空っぽだった私の心が、容易く満たされてしまった。     
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