ブログを見続ける人の話

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 何の事は無い言葉が連なっている。その僅かな言葉から漏れ出るその人の温かみを楽しむように、何度も読み返す。読み終えたら、また写真を眺めてその人の心を推し量る。 『どこで撮ったのだろうか?』 『どんな気持ちで撮ったのだろうか?』 『一体誰に向けて書いているのだろうか?』 『どんな人なんだろうか?』。  しばらくパソコンの前に釘付けになって、それからまた僕は僕の、あのつまらない日常へ戻っていく。  僕は今、その人のブログが毎日夕方五時に更新されるのが楽しみで生きている。  初めて見つけたのは…どれくらい前だっただろうか。覚えていないがそんなに遠い過去ではなかったように思う。  憂鬱な気分でネットの中を泳ぎ、変な物を見つけては嘲笑い、下らない物を見つけては唾棄し、気分を紛らわせていた。あまり良い人間ではない僕の、辛うじて存在する趣味。  そんな中…どこをどうして見つけたのか覚えていないが、兎に角偶々その人のブログを見つけた。  初めてその人のブログを見た時、僕は初めて『言葉を失う』という事を体験したんだ。  その写真は、空だという。画面一杯に映るのは、青一色。いや、正確に言うと濃淡が凝縮されており、青しかないのに無限に色が存在しているように感じた。薄汚れた僕の部屋で、くすんだディスプレイに映る景色から、僕は確かに爽やかな風が溢れ出てくる瞬間を確かに見たんだ。     
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