ブログを認め続ける人の話

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 死とは、絶望だ。その先に存在する物は無い。だが、必然である事を考えれば、それを認め、私のしたい事、するべきだと思う事をただひたすらする事が正しいのだ、と今ではそう思う。  死という絶望を目の前にして、それでも尚何かを為そうとする意志。それに気づいた時、私の心は穏やかさを初めて手に入れたような気がする。  淡々と撮っては上げる。私が見た、面白い物を。誰かに認められる必要なんて無い。私がそうしたいから、そうするだけだ。  やがて私の体を蝕み続けていた病は、とうとう私の足を奪った。私は、歩く事ができなくなった。助けを呼ぶ事も出来ず、呼ぶ人もいない。ガラクタばかりの部屋の中で、孤独に耐えていた。  そんな中でも、ブログだけは続けた。辛うじて残っている食料で食いつなぎ、撮り溜めておいた写真をアップし続けた。私の価値観を、衆目に晒す為に。  どうせ長くない命だ。最後まで好きにやりたい。  とうとう撮り溜めておいた写真も底を尽き、食料も底を尽き、私の体も満足に動かせなくなってきた。私はきっとこのまま、誰の目にもさらされないまま死んでいく。  …私の価値観、誰かが受け止めてくれたかな?  ふと、考える。こうして今際の際になっても写真にこだわり続けているのは何故か?私自身にも正直分からない。     
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