ブログを認め続ける人の話

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 …私は、何にそんなに駆り立てられていたのだっけ?燃え尽きる命を目前にして、何かを残す事に腐心したんだっけ?…残すって言っても、ブログに上げてインターネットの海に投げ出しただけ。誰がどんな風に感じたなんて、私には知る由もない。ブログの先に、誰がいるかなんて、私は知らない。いるのかどうかも分からない。まるで莫大な数の釣り糸を海に垂らし、誰かが食いついてくるのを待っている状態。誰かと一本紐が繋がっている、かもしれない状況。  じゃぁ、何で私は写真を撮り続けてきたんだっけ?  …私は…認めてもらいたかったのだろうか?誰かに「良い写真ですね」って言って欲しかったんだろうか?…実は、不毛な事だったんじゃないのか?私は、私がしたい事をしていると自分に言い聞かせ、無意味な事を繰り返していただけ。…誰もそんな事に価値を見いださない。  …そうなのかもしれない。でも、構わないと決めたんだ。だから、気にしない。  何度となく考えた事だが、死を目前にして一層考えるようになった。ぐるぐると回っては、結論は自分に言い聞かせるだけの言い訳。  …写真を撮り続けてきた理由…ふふ、何だっけね。最初に撮った朝焼け。あれは綺麗だったなぁ…最初の頃は美しい物にこだわって、色んな所に撮りに行ったっけ。それからたまたま道端で見かけたお地蔵さんもどき。あの辺から誰も見ない面白い物に興味が湧いたんだっけ。懐かしいなぁ…  そろそろ午後四時半。ブログを更新しなくちゃならない。とはいえ、写真のストックは底を尽きている。  …どうしようか?  カメラを持って、しばらく悩んだが、この部屋は美しくない。撮る価値も無い。  …困ったな…何も撮る物がない…     
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