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そして、その人の言葉が書き連ねられていた。
「今日は、空がとても綺麗でした。思わず撮った一枚です。曇り空が続いてましたから、久々の快晴で嬉しくて。
雲一つ無い天気っていうのも珍しいですよね。写真を撮ったところだけが青空なんじゃなくて、空という空、一点の雲も無い天気でした。
貴方の町は、晴れているでしょうか?」
最後の無指向性の言葉が、まるで僕に投げかけられているようだった。思わずカーテンを捲り、空を見上げる。今日は…曇り空だ。しかし少しだけ青空が垣間見える。
空の青は、あんな色だっただろうか。白い空に押されて、すっかり小さくなった空。申し訳なさそうに、何なら雲の白さに紛れてしまいそうな青。僕は小さく溜息を吐いて、画面の空をまじまじと眺め続けた。
綺麗な写真だ…他にどんな写真を撮っているのだろう?その人のブログは大分前から始まっていたらしく、僕は少しだけ、遡って写真を見た。
街。青信号と、スクランブル交差点を渡る人の波。
「せわしなく人が歩いていますね。私は歩くのが少し遅いから、こんな中に入ったら行きたい方向へ行けないかも。
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