ブログを見続ける人の話

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 自分の頭を引っぱたきつける。痛い。しかしこれで少し冷静に考えられる。  人が死ぬなんて、簡単に考えるな。僕は僕に強く言い聞かせる。きっと何か事情があるんだ。ただ、それだけだ。  とはいえ、不安を肯定する材料はたっぷりあるものの、否定できる材料など無い。そもそも、僕はその人について、何も知らないのが事実だ。冷静に考えれば考える程に、悪い方向へと向かっていく。  …そうだ、何も知らない。顔も、名前も、性別も年齢も、趣味も家族構成も、歩幅も背格好も服装も、髪の長さも髪型も、声も喋り方も癖も。過去も、現在も、未来も。  その人の一日の一瞬を垣間見、僅かな言葉を眺め、理解したつもりでいた。その人は、僕に向けて言葉を投げかけ続けていたと思っていた。その人の姿を妄想していただけだった。  …僕は一体その人とどんな繋がりを持っていたというのだろう?どんな関係だったと言えるのだろう?  僕とその人を繋いでいたのは、唯一その人のブログだけ。僕はコメントを入れた事はない。コミュニケーションが成立した事はないし、その人は僕がブログを楽しみにしている事を知らなかっただろう。     
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