坊さんが屁をこいた

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明日は私の結婚式。アルバムを開くとその時、その時の光景が鮮明に思い出される。特にあの日の事は絶対忘れられない。 あの日は………… ~10年前~ 「臭っせぇんだよ!近寄んじゃねぇ!糞オヤジ!」 あたしは相川美里。花の14歳 職業はJC え?女の子ならもう少ししおらしく?うっせーよ!グレるにはそれ相応の理由があるんだよ!文句はあの屁コキオヤジに言ってくれ。お母さんは5年前に病気で亡くなった。以来、オヤジと二人暮らしだ。オヤジは坊主だ。寺が商売繁盛っていいのか悪いのかわからないが毎日大盛況だ。 その理由がコレだ。 オヤジはお母さんが亡くなってから不思議な事が出来るようになりやがった。 ブッ! 「ありがとうございます。ありがとうございます。お陰で腰が治りました。ありがとうございます。ありがとうございます。」 ブッ! 「やったぁ!コレですコレです。これが無かったら今度の商談、完璧に終わってました。見つかってよかった!ありがとうございました。」 「病院で診てもらったら、ガンが消えてたんです。本当に奇跡です!ありがとうございます。」 と、このように屁をこく度に奇跡を起こすからタチが悪い。毎日毎日何十人も並んでる。周りの商店街は売上が上がったって喜んでるらしいけど。毎日うるせぇし「屁」で金を儲ける坊主って何だよ。SNSで評判が上がっちゃって、今では「金額が多ければ多いほど大きな願いが叶う」なんて言われちゃってるからお布施の集まること集まること。おかげで金持ちだけど。 とは言っても百発百中じゃない。それどころか、うまく願いが叶うなんて50回に1回くらい。それでも医者にもう治らないと言われた病気の人なんかは「金で病気が治るなら」なんてずっと通ってる。ゲームアプリのガチャに課金してるのと変わらないと思うわ。本人にとっては切実な悩みなんだろうけど。
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