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現在大学二年生の冬期休暇中。幸い現役で大学に入学し、留年することなく進級したため、今年成人式を迎える。
式は年が明けてからであるが、まだクリスマスが終わって間もない頃、早くも帰省していた佐上に彼は連絡をくれた。
「今年は俺も早く帰省したから暇なんだよ。めっちゃ久しぶりにご飯行こーぜ」
彼とは中学時代、同じバドミントン部に所属していた。女子が圧倒的に多い中で貴重な男子仲間であり、二・三年は同じクラスだったので何かと一緒にいた仲であった。
中学卒業後、彼は県外のバドミントン部の強豪校に進学して寮生活を始め、地元の公立高校に進学した佐上とは疎遠になった。なかなか会うタイミングが合わず、正月にメールをやり取りするくらいであった。
大学は佐上も県外に進学したので、ますます疎遠になって今に至る。
(もうかれこれ五年ぶりになるのか……)
一体どんなやつに成長しているのか。自分はどんな風に彼の目に映るのか。
わくわくするようなどきどきするような、まるでデート前の緊張にも似た面持ちで待ち合わせの場所に到着すると、すでにそこに彼はいた。
「お、久しぶり」
佐上が確認する前に、彼の方が何の躊躇いも無く声をかけてきた。すぐに佐上だと分かったらしい。
「……久しぶり。元気そうだな、夏李(かい)」
「お前もなー、佐上。全然変わってないからびっくりしたぞ」
「え、うそ。背伸びたし、体だってでかくなっただろ」
「でも顔はあの頃の面影残してるからすぐ分かった」
「それはお前もだ」
夏李はあはははと笑い、佐上の肩をポンポンと叩いた。
背は夏李の方が少し高いだろうか。大学でもバドミントンを続けていると聞いていた通り、がっしりしたスポーツマンの身体なのがコートの上からでも見て取れる。しかし、
「お前、相変わらず白いなあ……」
佐上はまじまじと夏李の顔を眺めて言った。そうなのだ、中学の時からそうだったが、夏李は肌が白い。そのせいで、思春期の頃はかわいらしい顔と華奢な身体も手伝って、女子の中にいても全く違和感なく馴染んでいた。
「体質なんだろうなあ。これでも屋外でランニングとかしてるんだけど。あんま焼けないんだよな」
夏李はどこか諦めたように言い、「そんなことより早く行こうぜ」と佐上を促して予約していた店へと向かった。
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