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その写真は、体育館内で学校指定の体操服を着た少年二人が並んで写っている。それぞれの手には、バドミントンのラケットを握っていた。中学生の佐上と夏李である。
佐上も写真を覗き込んで微かに笑った。
「そりゃ中学生だからなあ」
「つーか俺、今よりもっと白くて華奢だなあ! 顔も幼いし女子みてえじゃん」
「……自分で言ってくれて助かったよ。オレもそう思った」
大学生になった今から見ると、本当に子どもだ。まだ思春期真っ只中の、心身共に幼い子ども。
(まああれからどんだけ大人になったんだって言われてもちょっと困るけどな)
確かに声変わりもしたし、体も大きくなったし、成人の歳になった。しかし、もう子どもではないと思う一方で、完全に大人でもないような気持ちがある。
夏李が次の写真を見て、「あ」と声を漏らした。
佐上もその写真に目を遣り、心なし頬を緩ませた。
そこには、ショートカットでキリリと整った顔立ちの、少年のような少女が写っていた。
白いユニフォームに身を包み、帽子の下の顔と半袖から伸びた腕は健康的な小麦色だ。太陽の下、少し恥ずかしそうながらも笑っている顔が眩しい。
「……この子、滅多に写真写らなかっただろ? 卒アルにも集合写真以外ほとんど写ってなくてさ」
佐上が何ともなしに話しだすと、夏李は「うん」と相槌を打った。
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