第1話

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第1話

 今日も空はよく晴れている。  暖かな陽射しの中、潤は行き付けのカフェで気に入りの紅茶を楽しんでいた。  行き付けと言っても自分の病院の前にあるカフェだ。  潤がこのカフェを気に入っているのは近いからだけではない。花屋が隣にあるお蔭でテラスからの眺めが良いのだ。 「紅茶の御代わりをいただけますか?」  潤は咲き誇る花々を観賞しながらガラス製のティーポットを軽く持ち上げて馴染みの店員に告げた。隣のテーブルを拭いていた彼女はニッコリと笑って応じ、店内へ入って行った。  近過ぎず遠過ぎずというこの程好い距離感が潤は好きだった。  店員は客の時間を邪魔せず、それでいてサービスは欠かさない。気の利いた接客も潤がこのカフェを気に入った理由だった。  新しく運ばれて来たティーポットの紅茶を半分ほど潤が楽しんだ時だった。  何やら言い争う声が聞こえてきた。どうやら喧嘩のようだ。  テラスと歩道の間には細いフェンストレリスしかない。高さは一メートル程度だ。薔薇の模様のフェンストレリスが目隠しになる事は無く、喧嘩の様子は丸見えだった。     
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