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脱獄
…エエエエエエエエエエエエエエエエ…。兵士に拘束された時、ユアンはそう思った。
「デイモン様。捕まえました」ユアンを捕らえた兵士はデイモンのいる方に視線を移した。
その時、ユアンの視界にデイモンが入った。
「あっデイモン様」ユアンがそう言った次の瞬間、デイモンがユアンの頬を平手打ちしその口を開いた。
「信じてたのに…」デイモンはその目に涙を浮かべながらそう言うと兵士に「コイツを牢にぶち込んどけっ」と言い踵を返した。
ユアンは驚きのあまり言葉を失い兵士に連行され始めた。
数時間後、ユアンは青白い月が見える小窓がある牢屋の中にいた。
「オレこれからどうなっちゃうんだろ…」誰にともなくそう呟いたユアンの鼓膜を刹那ユアンッという女の声が揺らした。
「!?!お袋?…ってお袋がこんな所にいるはずないし、オレどうかしちゃ…」
「ユアンッ」
その時ユアンの言葉を遮ったユアンの母親はユアンッ助けに来たわよと言いユアンを驚かせた。
数時間前、人づてにユアンが権力者の子供を毒殺しようとした容疑で捕まった事を知ったユアンの母親はその目を見開いた。
「あの子が、あの子がそんなことするはずないっっ」
手作りの小物や衣類がある室内。そこでユアンの母親はそう言い立ちあがった。
それからユアンを救う為、鍵職人でもあるユアンの友人、ユージンにユアンの事を話したユアンの母親はユージンとユアンを救う方法を考え始めた。
数時間後、ユージンと共にユアンの母親は老後の蓄えを手にユアンが入れられている牢屋がある場所に赴いた。
「五分くらいでいいからこれでお月見しててくれない?」
見張りのオトコにそう言い老後の蓄えを渡したユアンの母親は見張りのオトコがユアンの母親が渡した物を確認すると解ったと言いお月見をし始めた。
「やった」
「喜ぶのはまだ早いわよ」ユアンの母親はそう言いユージンをたしなめると牢屋の中に入り始めた。
ほどなくしてユアンがいる牢を見つけた二人はユアンに声をかけユージンに牢の鍵を開けて貰いユアンを解放した。
「有難うユージ…」
「礼なんて後でいいから」
ユージンはそう言うとユアンとユアンの母親と共に牢屋を出、人気が無い路地裏に足を運び始めた。
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