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迅太は手を差し出して、弥子と握手を交わす。
「……ありがとうございます! 帰ったらお父さんに自慢します!」
「おう! そうしてくれ! これからも応援よろしく!」
「はい!!」
それを遠巻きで見ていた未来たち一同は、
「うわぁ、児童会長って結構ミーハーなんだね」
「マラソン大会とか見に行くんだな」
騎士と和斗が驚いていて、
「知らなかった」
未来も呟いていた。
アイスも食べ終えたところで一同は再びウッドデッキに出た。
「土居選手に会えるなんて…」
弥子は未だに心が浮いていたが、手は動いている。
「弥子は今日、本当にラッキーだったね。差し入れも月に一度あるかないかだし、迅太兄さんも土日は練習だから施設にいないしね。試験以外は夜も遅いし」
「そうなんだ。じゃあ、施設の人たちはこれで全員?」
「うん。施設にはいるよ。出てきてない人が一人いるけど」
「出てきてない人?」
「うん。一つ上の姉さんなんだけど、三月に来たばかりで、未だに部屋から出てこないんだ」
「そうなの?」
「うん。施設に来たばかりの人はあまり部屋から出てくることないからいつも通りだよ」
「へぇ……美咲さんもだけど…いろいろあるんだね」
「そりゃね。俺や望兄さんみたいに単純ならどうってことないけど。一つの家族に一つの事情があるからね」
それを聞いて、弥子は自分の家の事を思い出した。
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