「コノトキガトマレバイイノニ」

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 次の日の昼過ぎ、未来が施設の外で待っていたら、弥子が家から出るのが見えた。 「わざわざ出迎えありがとう、未来」 「いいよ。施設って入りにくいと思ったから。家、大丈夫だった?」 「うん。お母さんは嫌そうにしてたけど、お父さんは行ってらっしゃいって」 「そっか、こっち」  未来は建物には入らずに、迂回した。そこは涼が取れるような、ウッドデッキになっており、その目の前は花壇にいろいろな花が植えられている。 「すごい綺麗。これ施設のみんなで世話してるの?」 「まぁ大体は院長の趣味だけど、手伝う時はみんな手伝うよ」 「そうなんだ」 「暑いから影でやろう。こっち」  未来は影になっているウッドデッキに腰かける。そこにはすでに理科のノートと筆記用具が置かれていた。 「弥子ちゃーん!」  ウッドデッキに座ったところで後ろから声がかかる。施設内の出入口から、愛夢が出て来た。 「愛夢ちゃん。お邪魔してます」 「うちもお絵かきする! それなら邪魔にならないでしょ? 未来兄ちゃん」  愛夢は紙と鉛筆を取り出していた。 「ああ」  未来が頷いたのを確認してから、愛夢は弥子の隣に座った。 「未来兄、わたしもいい?」  愛夢の後ろから、和泉が顔を出す。 「ああ、おいで」  それを聞いて和泉は嬉しそうに未来の隣に座った。  その行動を皮切りに施設にいた小学生以下は続々と紙と鉛筆を持って、ウッドデッキに座り始めた。最終的にはお絵かき大会が始まっていた。
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