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「行こう、弥子。多分余りが出るはずだから、弥子の分もあるよ」
「ええ? 私がもらっていいの?」
「施設で用意するおやつは、小三までしか出ないけど、たまに卒院生が持ってくるのはみんなが食べるんだよ。先生とかも。いつも余るから弥子の分もあるよ」
「そうなんだ」
みんながみんな座っていたところに描き途中の絵を置いて、中に入る。
「未来、弥子ちゃん連れて図書室組呼んできてくれ」
「わかった。弥子こっち」
望に頼まれて、未来は弥子を連れて廊下を歩く。
「この辺は図書室に食堂、談話室とかいろいろ。入り口のところは広いホールになっててベンチとかソファとか置いてる。広いから、雨の日は絶好の遊び場なんだよね。二階はそれぞれの部屋だよ」
「へぇ……そういえば未来、前に、学校の図書室より、施設の図書室の方が本が多いって言ってたけど?」
「うん。見ればわかると思うよ。ほら」
未来は図書室の扉を開いた。中は冷房が入っているので、過ごしやすい。机には威之介(いのすけ)が勉強をしていて、千珠(せんじゅ)、笑空(わく)、笑海(えみ)、織人(おりひと)がそれぞれ本を読んでいた。
「あ、児童会長!」
「騎士くん。お邪魔してるね」
「ううん。いらっしゃい」
騎士もいた。
「兄さんたち、司兄さんの差し入れのアイスがあるから、みんなホールに集まってるよ」
「アイス!?」
それに元気よく反応したのは笑海。
「みんな行っこう!」
それに反応して、全員本から顔を上げて、立ち上がる。
「騎士、和斗部屋にいると思うから、呼んできてくれる?」
未来に言われて騎士は頷いた。
「未来」
「なに? 千珠姉さん」
「そちらの方が、噂の未来の彼女か?」
「………なんでそういう噂になってるの?」
「まあ、違うとは思っていた」
そう言いながら、千珠はパソコン室の扉を開ける。
「仁菜姉さん、差し入れのアイスがあるそうだ。みんなホールにいるようだが、姉さんどうする? 取っておこうか?」
扉を開けたまま千珠は声をかけた。仁菜はパソコン室にいるようだ。
「いや、行く行く。風夏(ふうな)が部屋にいるから呼んでくるよ」
姿は見えないが仁菜の声が響く。
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