トマトの赤

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トマトの赤

俺はトマトが食べられない。 だから、トマトが好きな女は嫌いだ。 トマトは柔い。 臭い。 精通みたいに無抵抗に青臭い。 噛むと、若い女の歯茎みたいに、キュッとする。 40年ちょっと生きてきた間に、 知り合った女たちは、みな、 トマトを愛し、 俺の皿に勝手にトマトを載せ、 「トマト、食べないの?」 と言い、 俺が食べないと言うと、 ふぅ~ん、だから、、、と見下すような目をした。 だから、の続きは聞いたことがないが、 たぶん、不健康だとか、太っているだとか、 頭髪が地肌がちなことや、早いことや遅いこと、 結婚をしてないことや、貯金が10万しかないことに、 つながるんだと思う。 「トマト、美味しいじゃん。 何がヤなの?」 と女が言いだしたら、もう終わりだ。 そういう女は、たいてい、 私、年の割にまあまあ、何とかなってるでしょ? 何が気に食わないの。 とか何とか言いだして、 俺の無口や仏頂面や、 いっこうにキスをしないことを責め出す。 どうして女は、まるで関係のない事象を、 さも、地球温暖化と南極の氷の関係性の如く、 見事につなげてしまうのだろう。 知りたい。
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