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ハ・ツ・ネ・ツ・オメガ 4
――なんだろう。なんなの、これ。あたし、今、なにしてるんだろ……。
何もかもが、現実とは思えなかった。
壮介に抱きかかえられるようして歩き出した時も、廊下の壁に寄り掛かって、壮介が自分のIDカードで営業部フロアの戸締りをするのを眺めている時も。
りん、と軽やかなベルの音とともに到着したエレベーターに乗り込んでも、足元は妙に頼りなく、頭の中でもなにかがぐるぐる回っているようだ。
まるで世界中が箱庭みたいな作り物のように感じられる。
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