ハ・ツ・ネ・ツ・オメガ 5

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「失敗って……」 「ああ。仕事で大ポカやらかしたこともあるし、これでも、こっぴどくふられたことだって、二度や三度じゃないんだぞ」 「……嘘」  ぼそっと、つぶやくように織花は言った。 「信じられない。壮介さんをふる人がいるなんて」  ――だって……、だって。  壮介の大きな手は、いつの間にか織花の肩に回され、織花をそっと抱き寄せていた。  あたたかくて、強くて、優しい、手。肩に置かれた手のひらだけで、織花の全部を包み込んでくれているみたいだ。  ――こんなに優しい手を持つ人を、嫌う人間がいるなんて。  とても信じられない。
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