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午後八時半を回ったオフィス。
広いフロアの半分以上は照明も消え、誰もいない。織花のいる第二営業部のあたりだけが、わずかに灯りがついている。
先ほど出来上がった会議資料を、黙々と印刷し続けるマルチコピー機。
あとは、この資料を冊子にまとめれば、今日の仕事は終わりだ。
織花が契約社員として勤務するサエグサ・コーポレーションは、主に住宅建築と建築資材の製造、販売を手掛ける、中堅企業だ。近年、海外企業と業務提携したこともあり、勤務体系の見直しが進み、全社規模で定時帰宅が推奨されている。
夕方七時を過ぎれば、新橋にある本社ビルはほぼ無人となり、しんと静まり返る。
けれど織花は、明日の会議で使う資料の作成に手間取り、とうとうこんな時間まで残業することになってしまったのだ。
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