第1章 キャメロン

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★4、 5階に着いたら若い女の人が乗ってくる。    (その人には話しかけないように。体験談や噂ではこの女性は様々な手法で話をさせようと したり、知り合いに化けている時もあるそう。ですが、絶対に話し掛けてはダメ。) ポーンっと軽い音を立て、エレベーターは五階に止まった。 ユックリと開く扉の隙間から見えた人影。 ローブのようなものを着、顔が隠れるくらい深くフードを被った小柄な人が乗り込んでくる。 たんに一風変わった一般人の可能性も捨てきれないが、どうやら乗り込んできたのは女性のようだ。ローブのようなもののせいで少々わかりにくいが、身長と身体つきからそう判断した紅。 ★5階で乗って来るのは人ならざる者なので、絶対に関わってはいけない。 出来れば目も合わせない方が賢明です。 サイトによると、彼女は人ならざる者。オマケに知り合いに化けて乗り込むこともあるそうだ。 だが、あいにくと顔が見えないので、今乗り込んできたモノが知り合いに化けているのか、そうでないのかはわからないが、絶対に離しかけてはだめと云う事なので、紅は思い出したようにごそごそとカバンから青いヘッドホンを取り出し、自分に付ける。 蒼は元々ヘッドホンを首に下げていたので、紅はそっと彼女のソレを付けてやった。 猫耳のようなスピーカーのついたそのヘッドホン。紅はついでと言わんばかりに、右側についているボタンを押して猫耳をピカピカと光らせ、満足そうに頷いた。 不思議そうな顔をする彼女に、絶対に外すなと口パクで伝え、蒼の背をローブの女に向けるように自身の腕の中に閉じ込める。これで、話しかけられても音楽を聴いていて聞こえないという体が取れ、女を無視できるという寸法だ。  
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