PROLOGUE

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  小田切 紅(オダギリ コウ) 、十八歳。 俺は今、最終決断を迫られていた。 何の最終決断かだって? ソレは、今の生活を・・・ 友人を・・・ 世界を・・・ 次元を・・・ 『捨てる』覚悟をだ。 未知の領域にへと足を踏み入れる覚悟をだ。 「・・・ッ」 「・・・・・・」 今いるこの空間から一歩、外に出ようとした俺を止めるように手を掴み、目の前の光景に息を飲む妹の音が聞こえた。 「こ、紅・・・?」 震える声で俺の名を呼んだ妹、蒼(アオ)は不安そうに此方を見上げる。 「・・・蒼、俺は此方の世界に行ってみようと思う。こんなとこに連れて来ておいてなんだが、お前はどうする?多分、此処から出なければ元の世界に帰れる希望はあると思うが・・・」 「・・・紅が行くなら、ボクも行く。紅が居ない世界に・・・独りで居たくないよ・・・」 「決まりだな。蒼・・・」 俺は静に微笑むと右手を彼女に差し出し言った。           行こう・・・  
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