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まず、何故彼等が先刻のような状況になったのかを説明することにしよう。
ソレは、前日の夕刻にまで遡る。
― 前日 午後 五時三十分 ―
「紅。異世界って、あると思う?」
「・・・はい?」
学校から帰宅早々、兄の紅は待ち構えていた妹・・・蒼に開口一番そう聞かれた。
「あ~、スマン。蒼、悪いがもう一度言ってもらえるか?今、何て言った?」
「え~?紅、耳遠くなっちゃったのぉ?」
「・・・そうならどんなにいいか。いいから、もう一度頼む」
「しょうがないなぁ・・・紅、『異世界って、あると思う?』」
可愛く首を傾げて再び問う蒼に、紅は効き間違いでなかった事に溜息を吐く。
「・・・また、難しい質問だな?急にどうしたんだ?」
「えっとね?オカルト専門のサイトで『行った事がある』っていう人が居たから気になって」
「成程。お前、そういうサイト大好きだもんな?」
苦笑混じりにそう言う紅。
正直そんなものを信じてはいないが・・・
「そうだなぁ。あったら楽しそうとは思うかもな。地球という摩訶不思議なモンが存在してんだ。宇宙の何処かに地球と同じような惑星が在るかもしれない、宇宙人が居るかもしれないと思うのと同じように、異世界もまた、『無いとは言い切れない』っていう回答じゃダメか?」
「それ、要するにどっちでもいいって云う事?在ろうが無かろうがどうでもいいって?」
「嗚呼。俺の人生には関係ないからな」
「何ソレ、ツマンナイ・・・」
「見解なんて人それぞれだよ。お前が異世界は在ると思うなら在るかもしれないし、無いと思うのなら無いのかもしれない」
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