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「紅、何処に行くの?」
「ん?このビル」
「え?何で?」
「エレベーター使うから」
今直ぐ行くと騒ぐ蒼を準備したいからと、なんとか言い包め、翌日必要最低限の荷物を持った紅と蒼は、10階以上はある2人の住む街周辺でも一番デカいビルにへとやって来た。目的は先刻紅が口にした通り。どうやら本気らしい。
「辞めるなら今のうちだぞ?」
「ううん。大丈夫」
紅の腕にしがみ付き、蒼はそういってぎこちなく笑った。
幾らオカルト好きとはいえ、他人の話を見聞きするのとは違い実際に試すのは怖いらしい。
「蒼、いいか?コレから俺達は『エレベーターで異世界に行く方法』を試そうと思う。これが成功すれば、そのままその世界を旅してみる。失敗すれば・・・そうだなぁ、まぁソレはその時に考えるとして、一番大事なことはエレベーターに乗ったら、〝絶対に〟何があっても言葉を発するな。そうすればまぁ何とかなるだろう」
少々不安そうな妹の頭を撫で、紅は二カッと笑って見せる。
そう、今は失敗した時の事なんか考えない。これはタダの『実験』であるのだから。
まぁ何にせよ、何があっても、起きても、絶対にコイツだけは守ると心で誓いながら、紅はスマホを取り出し、オカルトサイトを開いた。
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