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安置所の台には死体が一つ横たわっていた。
台の横にぶら下げられたボードには書類が挟まれていて、その種類には死に至った状況(交通事故)、死亡時刻(22:15)、性別(男性)、身元(不明)と言った情報が黒いボールペンで書き殴られていた。
シーツをめくると血の気のない男の顔が現れた。
20代にも30代にも40代にも見える。
アニメに登場する男性のような顔立ちをしていた。
つまり、シワがなく、Gペンで書けそうな、シンプルな顔立ち。
威圧的とか強面とは対極にある顔だ。
Qはシーツからはみ出している指を観察した。
予想通り、どの指にも指紋がなかった。
消しているのだ。
「間違いないわ、アバターよ」と彼女は言った。
「本当に?」と8は首をかしげた。
「不死身の殺人鬼という噂だったのに。本当に死んだのか」
Qは死体の首に手を当てた。動脈を探ったが反応はなかった。
「間違いなくアバターは死んでいるわ」
「この死体が本当にアバターだと言えるのか?」
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