1 彼どんなモノにでもピカピカに輝いていた時はある。

4/5
前へ
/15ページ
次へ
高校入学を機にレスリングは辞めた。 小学生の卒業アルバムに書いた「将来は起業家を目指す」という夢は諦めていなかった。 その夢を実現するには、優秀な仲間と出会う必要がある、と彼は考えていた。 例えば、アップル共同創業者スティーブ・ジョブズにはスティーブ・ウォズニアック、ビートルズならジョン・レノンとポール・マッカートニーというように優秀な相棒が必要なのだ。 だから、高校生活はクリエイティブなパートナーを発見する時だと考えていた。 その一人が川田健次だ。 いい奴だ。 成績は悪いし、その上、単細胞だが、健康的に日焼けした肌、ニコッと笑った時の白い歯は誰にも負けない輝きを放つ。 健二には八雲有希という彼女がいて、彼には鈴井風架という彼女ができた。 風架は学校でもトップクラスの美人だったがそんなことを気にかけることもなく気さくな女の子だった。 彼、健二、優希、風架の4人でこの夏、密かに旅行を計画していた。 もちろん、親には内緒で。 青春映画のような学校生活を満喫しながら迎えた6月のある朝、彼の人生は突然、崩壊した。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加