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タケルは一度、思い出したように立ち上がる。
「タケルさん、どうしたのです?」
「あ、いや、マリアさん、
オレ、みんなの顔を見てくる・・・。」
その時のタケルの表情で、
マリアはタケルの心情を思いやった。
タケル自身が不安に駆られたわけじゃないようだ・・・。
恐らく、他のみんなも不安や怯えを見せてるだろうと思い、
何か元気づけてやろうかとするらしい。
マリアはまるで母親のように、タケルの行動を見守る・・・。
もともとは死んだ美香がタケルの母親役を務めていた・・・。
そしてスサ内にあっては、美香は指導者であり、全ての隊員達の世話役をも彼女はこなしていた。
信州の地下基地内にいた時は、末端の隊員であろうが、
廊下で会えば、美香は明るい挨拶をする。
その人間の過去の生い立ちや性格も忘れない。
その細やかな気配りに、誰もが美香に尊敬の念を抱いていた。
そんな彼女の行動を、勿論タケルが知っていた筈はない。
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