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うんとうなずく代わりにカナタは腕を伸ばして、シイバにキスをする。大好きな人に求められて嬉しい。番うためでなく、発情を慰めるためでなく、抱き合う。アルファもオメガもない、人としての心の結びつきでの触れ合いだった。
「ん――……ん、ん」
唇を押し付け合いながらも、シイバの指はカナタの胸を弄る。優しく転がされるもどかしさに腰が揺れた。キスは頬にずれ、それから耳たぶを口に含まれる。シイバの漏らす息が耳に吹き込まれ、カナタが身悶えるのに音を立てて舐っては、耳孔に舌を這わせた。
「や、だぁ……ん。ふ……」
シイバの重みを感じているだけでも幸せなのに、カナタの弱いところを重点的に弄られて、下腹につく欲望は今にも弾けそうだ。
「い、っちゃうから……ん!」
「凄く濡れてるな……俺の服まで湿ってきた」
茎の先端からひっきりなしに蜜が垂れ、触れ合うシイバのズボンを濡らしている。その蜜を指ですくい取ると、シイバはそれを後孔へと広げた。
「あ、っ……ん」
「ゆっくりする」
そうでなくとも久々のことだ。発情で勝手に濡れて蕩けるのとはわけが違う。触れられた途端に緊張したカナタの頬にキスをする。それから一度ベッドを降りたシイバはクローゼットからローションを手に戻った。
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