1013人が本棚に入れています
本棚に追加
*
まどろみの中にいたカナタはその瞬間がきたことを知る。咽るほどに濃い香りが部屋に立ちこめていた。いつの間にかカーテンが引かれ、そのせいで時間の感覚がない。
シイバは横たわるカナタの右足を高く抱え上げると、怒張したものを容赦なくカナタにねじ込んだ。
「あ――う、っ……」
蕩けきった場所でも、ヒートしたアルファのそれは悠々と受け止めることができない。カナタと足をクロスさせるようにして押し入ってきたシイバは、低く唸り声をあげながらカナタを責め苛む。
綺麗に浮き出た筋肉の上に、うっすらと汗が乗る。その魅惑的な身体が飢えた猛獣の動きでカナタを抉り、最奥を目指して腰を突き立てる。苦しいのにそれが嬉しい。欲しかったものが与えられるのだという期待がカナタを恍惚とさせていた。
「あ、あ、いい……あ、いい――っ、あ、咬んで……かんで……」
ずんと深く腰を突き立てたシイバは、前のめりになると首筋に鼻先をこすりつける。それからうなじをぺろりと舐めた。
(あ……ようやく…………だ)
本能の裏側でカナタは「大好き」と呟く。それがシイバに届いたのかは分からない。ただうなじを咬む直前にうっすらと笑みを浮かべたように見えた。
最初のコメントを投稿しよう!