□運命の番□

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「あ、あぁ……、っ痛――ぅ…………っん!」  ふるふると身体を震わせながらシイバはカナタの奥深い場所に熱い飛沫を注ぎ込む。同時にカナタのうなじを容赦ない強さでシイバが咬んだ。双方からシイバのフェロモンが注ぎ込まれ、全身が滾った。うなじに突き立てられた歯の痛みと相まってこのまま灰になってしまうのではないかというほど、身体が熱を孕む。  けれど、熱はぐるんと身体中を巡ったのち、すうっとどこかへ逃げていった。一瞬にして発情の苦しさが止み、夢から覚めたように理性が戻った。  はあ、はあとシイバが荒く息を吐いている。見上げれば額からいくつも汗を滴らせていた。 「シイバさん……」  来て……と手を差し伸べれば、繋がったままでシイバが倒れこんできた。 「カナタ……カナタ、カナタ……」 「これ、で……いいの? ちゃんと番えてる?」 「ああ……そう思う」  シイバもまたヒートしていたとは思えないほど、平静だった。僅かに血に濡れた唇とキスを交わす。互いを互いで縛りたい。そんな欲深い本能に捕食された『運命の番』は、喜びを分け合うように唇を押し付け合った。言葉では言い表せないほどに満ち足りている。
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