□運命の番□

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 十年近く会っていない両親が、どんな生活をしているのかと考えたことはある。ヒズミの家から出された時、昔ほど贅沢な暮らしぶりでなくとも、親子三人で力を合わせればそれなりに暮らしていけるのではないかと考えた。けれど発情のコントロールの出来ないせいで乱れる様を見られるのが怖くて、探すことを諦めていた。 「カナタを幸せにしたい。そのためならなんだってする……忘れないでくれ」  自分にその力があるなら、カナタだってシイバを幸せにしたい。なにも欠けたところのないシイバにカナタが出来ることはなんだろう。  首を傾げているとシイバがゆっくりと顔を寄せ、唇を押し当てた。 「セイジを迎えに行くか? それとも……もう少しこうしていようか」  裸の胸に抱かれて、カナタは真剣に悩む。 「とりあえず一度シャワーを浴びてから……」  カナタの曖昧な提案にシイバは笑い、もう一度キスをした。                  - 了 -
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