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「そうだね。でも僕自身も体がどちらかというと弱かったし、ああいった会はあまり好きじゃないし、普段は……出ないことになっていたはず。でも……」
「でも?」
「アリサ姉ちゃんに騙されて、何度か女装して舞踏会などには出たことはあったかな」
「そうなのか?」
「……うん。だから僕としては、エドワード王子には会ってないかな」
「……それで、リオの母や父は俺を紹介したことがある気になっていたのか?」
「そうかも。一緒にダンスを踊った時があるよ……女の子にモテてて、気に入らなかったから確かあの時……足を踏もうとしたことがあったような」
「リオは悪い子だな。でもそういえばアリサがやけに可愛く見えた時が……そしてその時俺の足を踏もうとしてきたような……本当に悪い子だな、リオは。お仕置きするぞ」
そう僕は囁かれたけれど、その口調が優しいものだから、そのまま意識がすうと沈んで行ってしまう。
だってこんなに子守唄を歌うようにエドワード王子が話して、頭を撫でるから。
だから僕はそのとき何を言ったのか、僕自身はその後しばらく……何も覚えていなかったのだった。
エドワード王子は、深々とため息をついた。
「どう考えてもリオの方だった、か。しかも入れ替われるくらいに女顔とか、しかも能力だって……。うん、間違えた俺は何も悪くない。こんなに可愛いリオが悪い。しかもこうやって今は……自分から手を伸ばしてくるし」
未だにエドワード王子の手を握ったままのリオを見ながら、エドワード王子は深くため息をつく。
「俺、一応はリオの体を狙っているはずだが……こんな無防備にしていいのか? それとも、誘っているのか?」
小さく囁くも、リオはまるで起きる様子がない。
今日の採取の冒険と、あの合金を作るので疲れたのだろう。
魔力的な疲れなのか、精神的な疲れなのか。
「この調子だと精神的な疲れの方だな。触っていた感じでは魔力がそこまで切れていないようだし。……もっとも、リオの前なら、キスでしか魔力が交換できないし調べられないと答えておいたほうがいいな。それぐらいの“嘘”は許されるだろう?」
小さく呟くもリオは起きない。
信頼されているな、と苦笑したエドワード王子は、そのまま添い寝をするようにリオの隣にもぐりこんだのだった。
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