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誰かがそばにいて、それが心地よかったので僕は、ぎゅっと抱きついた。
ひどく落ち着くような優しい香りがする。
あまりにも気持ちが良いのでそのまま二度寝しようと僕はした、のだが。
「……ここまで懐かれているなら、既成事実を作るか。薬以外でも即興で魔法を使えば確率が幾らか減るが……」
などという危険な声が聞こえた。
だが僕の意識はまだ心地よい微睡の中に引っ張られ、起きる気になれずにそのまま意識が沈んでいく。
そこでもぞもぞとお腹のあたりを触られる。
何をするんだと僕が気持ちの良い眠りを邪魔されてぼんやりと怒っていると、
「……今嫌がっていたように見えたが気のせいだな。さて、確か孕むようにするのはこのお腹のあたりに……」
「んん……うにゃっ、くすぐった……にやぁ?」
そこで前以上に、服の中に手を入れられてお腹のあたりをもぞもぞされた僕はようやく、意識が覚醒した。
そして自分の今の状況に気づく。
まず僕が自分からエドワード王子に抱きついている点。
そして、エドワード王子が何やら、目をギラギラさせて、僕のお腹のあたりをじかで触っている点。
さらにさらに、お腹のあたりに何やら魔力の気配を感じて覗いてみると……。
「こ、これは……」
「気づいてしまったか。ちょっとエロい気分になる魔法……というか、これは知っているのか」
「しっ、知っているよ! 発情魔法でしょう! 孕む系の魔法に似ていて、変な作用がないかといった体の相性を見るために使う魔法……ま、まさか」
そこまで僕は言って、気づいてしまった。
つまり僕の体の様子がどうか、現在エドワード王子は僕に……。
「というわけでもう少し大人しくしていたら完成だ」
「ま、待ちましょう。これはアリサ姉ちゃんが見つからなくて、僕が“嫁”になった時でもかまわないのではないでしょうか」
「準備期間なしで襲いたいから今のうちに調べておこうか」
「ま、待ちましょう。えっと、そ、そうだ。これから武器とかを作らないといけないので、許してください、お願いします」
僕は涙目で必死になってお願いをした。
でないと僕はここでものすごく発情させられて、あんあん言って涙目でトロトロにされて、その姿を見た時エドワード王子はどのような行動を起こすのだろうか?
そこまで考えた僕は、完全にアウトだと気付いた。
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