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「もしそうならアリサ一人には任せておけないな。そしてその程度の事はアリサにもわかっているだろうから、そうとは思えない」
「……もしかしたらまだ確信が持てない状況なのかも」
ふと思いついたことを口に出してみる。
そのダンジョンによって起こされる災厄。
それが起こる“前兆”のようなものを見つけたのかもしれない。
でも実際にそれが起こるかは分からないし、何かの手立て……。
「魔物の大量発生などが起こる予兆を確認して、スライムといった比較的弱くて倒しやすい魔物に変換して、魔力を放出させて強力な魔物が発生しないようにした?」
「なるほど、それはあり得そうだ。ダンジョン内の魔力機構に手を加えたか。展性的な所業だが、あれだけの力があればそれくらいの事は出来るのかもしれない」
「そうですよね。それに、エドワード王子を挑発したり“遊んで”いる部分もあるから、まだ予兆を掴んだけれど確証がない状態なのかな」
僕はそう考えながら呟くも、他には思いつかない。
大抵アリサ姉ちゃんの行動は後になって理由が分かることが多いのだ。
そう僕が思っているとそこで、
「遊んでいるのか」
「……え、えっと」
「やはりアリサを倒さなければならないようだ。俺のプライドが許せない」
そういって黒く笑うエドワード王子に、僕、また余計なことを言ってしまったと僕は思ったのだった。
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