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「なんで嬉しいんだ」
「そうですね、以前よりもレインとの距離が近くなったからでしょうか」
「……うぐ」
レインが呻いて、どこか逃げる場所がないかと探し始めて……なぜか僕の背後に隠れた。
「どうして僕の後ろに」
「……信用できそうだし、いざとなったらリオつながりでエルが引っ張り出せそうだから」
という計算の元だったらしい。
しかし僕を使ってエドワード王子が引っ張り出せるのかなという気がしたが、そこでまたオルト王子が楽しそうに笑った。
「レインはリオが気に入っているようですね」
「そうなのですか?」
「そうそう、普段はもっと、上から目線な感じではありましたからね……それに、リオはきちんと約束通り耳が隠れる道具を作ってきてくれましたしね」
「? 約束ですから」
「ええ。守ってくれましたしね。お姉さんのやらかしとはいえ、ね」
そう言われてしまうと、弟の僕としては御免なさいと言いたくなってしまう。
でも約束を守った所は気に入られたらしい。
嬉しい気がするなと僕が思っているとそこで、レインが僕の背後から消えた。
エドワード王子に気づけば襟首を掴まれていた。
「そろそろ行くぞ。というかレイン、これからまたダンジョンに潜るなら猫耳なほうがいいのでは?」
「……そちらに行ってから、つけます」
そう返したレイン。
そしてなんとなくエドワード王子の機嫌が割るような気がするも僕にはよくわからない。
また、ここでほかの武器の類を一通り渡して、これからバージョンアップをしていくと伝えると、オルト王子が、
「なるほど、このレベルの武器がさらに強くなると。……なるほど」
そうなぜか妙に頷かれてしまったがそこでエドワード王子が、
「渡さないぞ」
「……そうですね。伝説の魔道具職人と言われるだけあります。これだけの武器は見たことがありませんが……こちらに連れてくるのは難しそうですね」
「ああ。それでリオ。そのバージョンアップに必要なものはどこでとれるんだ?」
そう聞かれた僕は少し考えてから、
「この前アリサ姉ちゃんにもらったものと合わせればいいから、後一か所行けば、以前アリサ姉ちゃんが欲しいって言った武器と同等のものが作れるよ」
と、答えたのだった。
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