防御の腕輪

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 なんとなく気に入られたような気がする。  オルト王子が言うに、今まで自分くらいの力を持つような自分よりもかわいい相手がいなかったので喜んでいる、らしい。  だが後半の下りは異議を申し立てたい。 「僕の方が可愛いって、絶対におかしい」 「どっちも同じくらい可愛いから言い争うだけ無駄だぞ。もっとも俺の贔屓目だと、リオの方が可愛いが」  そう言い切られた僕は、それ以上考えるのを止めた。  エドワード王子に可愛いと言われるのは嬉しい……ではなく、ええと、え……むぅかしいことは考えないようにしよう、そう僕は考えたのである。  材料を取りに行く前につかれては仕方がないから。  そして歩いていこうとする道中。  しかもレインは、やけに話しかけてくる気がする、のだが。 「僕は、お魚が好きでね。特に川魚が~」 「のめら魚っていう魚の干物が~……」 「特に今の時期は、メザシ魚が~……」  といった魚の話をしている。  だが、以前は魚はそこまで好きではなかったそうだ。  これは……と思ったが、アリサ姉ちゃんの仕業に関係があると気付かれたくなかったので、僕は黙っていた。  そんなこんなで僕たちは歩いていくと、そこでオルト王子が、 「それで本日はどこに?」 「“クロックの森”に行って、湖周辺を見ながらいろいろな“鉱石”を集める感じです」 「それはどれですか?」 「一番探しにくいのは、“マナ蔓”と呼ばれる蔓の果実内にある鉱石かな。それさえ見つければ、後は湖の岸辺で水遊び、といった感じになるかと」 「それは良かった。今日は着替えを幾つか多めに持ってきたのです。またレインが服をどうにかされてしまうと困りますし」  そう言って食事関係の入った籠を見せてくる。  そこに着替えの幾らかも入れているらしい。  ちなみに今日の僕たちのご飯も持ってきているが、現在エドワード王子が持ってくれている。  軽いからそれほど大変ではないといったのだけれど、なぜかエドワード王子がやる気を出していた。  そして、森にやってきて湖が見えてくると、 「ここの湖の魚は確か、“モラ魚”が有名だったはず」
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