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僕、リオは現在借りてきた猫のように大人しくプルプルしていた。
周りには大勢の偉い人が、やけに小綺麗な服装で集まって並んでいる。
しかも魔法騎士団も沢山ここにいて、何時ここで何があっても大丈夫なような厳戒態勢ぶりだ。
そんなに危険なものがあるのだろうか?
それともあの王子が人気がありすぎて他の女に取られるくらいなら……というのでもあるのだろうか?
不安がひしひしと僕をおそってくる。
ちなみに僕の目の前には玉座があり、王だけでなく王子もその近くにいて怒ったように僕を見ている。
もしかして気づかれてしまったのか。
それは当然かもしれないと僕は思う。
だって僕は、女ではなく男だ。
胸のあたりに詰め物をしたりと様々な工夫をしていたが、どこからどう見ても男にしか見えなかったのだろう。
だから今王子は不機嫌になってニセモノの僕を睨みつけているのだろう。
ちなみにこの王子は僕も何度か会ったことがある。
金髪碧眼のイケメンで、男なのに花に喩えられるという美形だ。
もちろん、女の子にモテているので、僕も時々、本命にふられてしまえ~、と呪っていたのは秘密だ。
だが美形でいつも優しげな微笑みを浮かべていたかの王子が……エドワード王子が僕を睨みつけているのは、結構怖い。
やはり気づかれているのだろうか?
僕は本当は姉のアリサではなく、弟のリオであるという事に。
やっぱり姉であるアリサは、ああ見えても美人なのだ。
弟である僕がこんなドレスにかつらにといった女装モドキでどうにかなるはずがなかったのだ。
そう僕が思っているとそこでエドワード王子が睨みつけるように僕を見て、
「よく来たな、アリサ。そして……この前の仕返しをさせてもらおうか」
「! 何の話ですか!」
「問答無用!」
そう王子が僕の言葉を遮り、突如、巨大な斧を取り出したのだった。
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