アルバムと手紙

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「どういうつもりなの?」 私は言った。つい強い口調になってしまったが。 「どういうつもりも何も今日はお前の誕生日だろう」 「そうじゃなくて……!めでたくなんかないじゃない。今日はお母さんの命日なんだから!」 「ああ、墓参りは明日行く」 そんなことは今まで一度もなかった。必ずお母さんの命日はお墓参りに行った。 なのに、どうして今になって。 「本当は昨日、お前の誕生日を祝おうと思っていた。本当に気まぐれだった。ただなんとなく思い出して、ケーキを買って、食べようと思っていた。だが、昨日、久々にお前の顔を見て、母さんを思い出したんだ」 私はお父さんがこんなに喋っているのを初めて見た。だからと言って何も思わないのだけど。 「母さんはきっとお前の誕生日を祝わずに墓参りに行っていたと聞いたら怒りそうだと思ったんだ。だから、今年からはお前の誕生日をして、次の日に母さんのところに行くことにする」 本当に何を行っているのだろう。それは、つまり 「お母さんより私を選ぶ、ということでしょ……?」 「ああ、そうだな」 どうしてこの人はそんなに簡単に言うのだろう。今までのことを忘れたのか。 お父さんの言葉はいつまでも私の心に残っていると言うのに。 そう思っていたらお父さんが頭を下げた。 「昔、お前のせいだ、と行ったのは悪かった。八つ当たりだった」 謝らないで欲しい。今更、そんなことを言わないで欲しい。だって、私は家を出ると決めたのだから。 どうして今になって、今更。 「昨日のは、そんな意味じゃなかった。お前がいなかったら、俺は母さんのところに行けるのにな、って考えていたらつい声に出ていた。お前がいることを責めているわけじゃない」
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