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少し経って私の涙が引いてくると、お父さんはさっきテーブルに置いた小さな包みを私に差し出した。
「何?これ」
「開けてみろ」
中に入っていたのはネックレスだった。
「高そう……」
「お前、もっと他の感想ないのか」
お父さんは呆れたように言った。
「これ、私にくれるの?」
「ああ、誕生日プレゼントだ。でも何がいいかわからなかったから、お前ももう17だろ。そういうのが似合う年頃だ」
「こんなに高そうなのいいの?」
「今までは何もなかったからな。俺のしてきたこと考えるとそれでも安いくらいだ」
急に優しいお父さんになったのは少し違和感があるけどすごく嬉しかった。
これも、お母さんのおかげ。きっと私はお母さんのアルバムを、手紙を見つけなかったらお父さんの言葉をはねのけていただろう。
そして、後悔することになるのだ。
その時、私はお父さんに謝らなければいけないことがあるのを思い出した。
「あの、お父さん、ごめんなさい。私勝手にお父さんの部屋のお母さんの写真見てた……」
俯いて謝るとお父さんはあっさりと言った。
「ああ、知ってる」
え?知ってる?
その言葉は意外で私はお父さんの顔をじっと見つめてしまった。
「さっきはアルバムも見た、よ?」
「ああ、じゃあ手紙も読んだか。いつ渡すか迷ってたんだがいい機会だろう」
部屋を漁ったのにどうしてこの人はこんなにもあっさり言うのだろう。
「怒らないの?」
「ああ、お前が母さんを恋しがっていたのは知っている。それまでとりあげるのは酷だろう」
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