私と写真

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私の知っているお母さんはいつも笑っていて、だけど話しかけても決して声を返してくれることはなかった。 いつも写真の中で小さな小さな私を抱いて穏やかに微笑んでいる、それだけが私の知っているお母さんだった。 お母さんの声も、怒った顔も、泣いた顔も、私は見たことがない。 ただ紙の中のその顔を、鏡に映る私の顔に重ねて見ることしかできなかった。
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