6人が本棚に入れています
本棚に追加
はっとして私は時計を見た。
家を出る時間までもう一時間しかない。
私は急いで準備された朝食を食べ、学校の準備をした。
そうこうするうちに時間はどんどん進み、気がつけば家を出る時間。
まだ寝癖が綺麗に治っていない。しかし遅刻するよりはマシだろう。
キッチンに置かれた弁当を手にとって家を出た。
高校へ近づくにつれ、制服姿の人が増えてくる。
欠伸を噛み殺しながら歩いていると後ろから背中をぽん、と叩かれた。
「おっはよー」
同じクラスの仲のいい女の子。彼女はいつも私を見つけ、声をかけてくれる。
「おはよう。今日も朝から元気だね」
笑いながらそう言うと彼女はニカッと笑い、言った。
「そりゃあ、一日の初めにどんよりしてちゃ今日が台無しだろう?ほら、あかりも笑いな」
中学から運動部に入り、活躍してきた、と言う彼女はいつも活発で、私はそんなところが好きだった。
他愛のない話をして、授業を受けて、放課後は思ったよりを早くやってくる。
「あかりー、帰ろ」
「あれ?今日は部活ないの?」
「うん、今日は休み。親父と出かけるんだ」
そう嬉しそうに言う彼女の少し後ろを歩く。
「へぇ、いいね。どこ行くの?」
「……さぁ?」
首をかしげる彼女に私が笑うと彼女も笑った。
最初のコメントを投稿しよう!