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俺は、ダウニー。記者をやっている。最近はもっぱらディン・ディディンを追っている毎日だ。ディン・ディディンを知らねえのか?奴は常に歩いている。どこまでも歩いていく、そういう男だ。年は20代から50代という説もありバラバラだ。身長はわりと高くひょろっとしている。頭にはボロボロのテンガロンハット、ヨレヨレのジャケットをはおりフラフラ歩いている。ひげ面にサングラス、奴の見た目はいかれた浮浪者にも見えるかもしれない。そういう見た目だと噂されている謎の多い男だ。
奴は只者じゃない。俺は、奴が現れたという噂を聞いて、西部の町にやってきた。この小さな町は荒くれ者どもの吹き溜まりだ。犯罪が横行し、毎日銃で誰かが殺される。
俺はディン・ディディンの情報を集めるためにバーのドアをくぐった。
「いらっしゃいませ!こんにちは!」
こんな町に似つかわしくない明るい挨拶が飛んできた。カウンターの少女は元気よく声を張り上げている。これが荒くれ者どもを少しでも落ち着かせる彼女なりの技なのだろう。
バーにたむろってるのは暴力で弱者を虐げようとするクズばかりだ。俺が酒場に足を踏み入れるなり、3人の男が俺をにらみつけてきた。酒場には3人の柄の悪そうな男と、奥のほうに足でリズムをとって一人で飲んでいる浮浪者がいるだけだ。
俺はカウンターでこうつぶやく。
「オレンジジュース」
それを聞いた3人の荒くれたちが、まあ笑ってやがる。俺は、少女が出してくれたオレンジジュースに手を伸ばす。その瞬間、グラスが割れてオレンジジュースが飛び散った。3人の男のうち、とりわけ不細工でザコなオーラをはなつ男が、銃を取り出しグラスを撃ったのだ。
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